正常と異常の線引きは?『ドグラマグラ』鑑賞。※ちょっと閲覧注意だよ!
ちょっとややこしいけど、狂気ってほどでもない
今週のお題「ゴールデンウィーク2016」というわけで、予定通り『ドグラ・マグラ』を鑑賞いたしました。未成年やピュアな方には不適切な描写、及びあらすじネタバレが含まれているのでご注意ください。
胎児よ
胎児よ
何故躍る
母親の心がわかって
おそろしいのか
こんな巻頭歌と首を絞められる女性、胎児のCG映像で始まる『ドグラ・マグラ』。
場面転換のたびに回想か主人公の妄想なのか判断に悩む。
①母親殺し、許嫁殺しの呉一郎くん
おそらく呉一郎くんと思われる主人公は精神病棟に入院中。記憶喪失。
自殺した主治医の正木先生のかわりにやってきた若林先生。何かの伏線のようにしょっちゅうせき込む。ひげ面のジェントルメン若林先生いわく、「正木先生は心理遺伝の実験に君を利用した」とか。
心理遺伝…先祖の強い想いや変態的性癖などが子孫に受け継がれるという説。魔族大覚醒のようなもの
②呉一郎くんのご先祖は異常性癖もち
絞殺した女性の死体を克明に写生する。もちろん腐り落ちるまで。
一郎くんのご先祖様、呉靑秀はどうやらそんな人。(一郎くんが殺害した許嫁も、過去に殺された女性の子孫みたい)
そんな発禁モノの巻物は現代も残されていて、それを呉一族(多分男だけかな)が見ると狂気のスイッチが入っちゃうらしい。
心理遺伝の実験をしたくてたまらない正木先生がそれを呉一郎くんに見せちゃった。
そして発生した許嫁絞殺事件。
③本当にマッドなのは若林先生では…
②までが、ジェントル若林が一郎くん(仮)に話して聞かせた内容。
でもここで自殺したはずの正木先生登場。
「若林のやつめ、慌てて逃げおったな」
う~ん、ややこしい。
実は若林先生も同じ心理遺伝を研究していた仲間のひとり。元は共同研究者だったけど、ある時期からお互いを出し抜こうとするライバルに。
そんな若林先生は法医学者の立場を利用して堂々と死体安置所に侵入。
実は息を吹き返していた呉一郎の許嫁と本物の死体をトレード。
そして何を思ったか死体をオープン、中身をシャッフルやりたい放題。
真の黒幕はこいつか。
そんなマッド若林のハッスルをばっちり撮影する正木先生。
④ちょっと目を離したら、やっぱり正木先生死んだことになってる
困ったなあ。もう1回見ようかなあ。
それでね、隣に入院してたお嬢さんの正体は若林先生にすり替えられた許嫁だったみたい。
見つめあうふたり。
一郎くんのこの笑顔
ここで終わればいいのに。
ここで終わればいいのに。
でも、ラストは病室で目覚める一郎くん
物語冒頭と同じこの感じ、いわゆるループものです。
どこからが現実でどこまでが妄想なのか。
ドグラ・マグラに関する考察はいろいろ出ているようですが、単純なサスペンスものとして見るとそこまで難解じゃない。
でも作者の意図するところを考えると、考察すること自体が野暮ってもの。もちろん考察できるほどの読解力とそれを表現する力を持ってる人はすごいと思う。
ドグラ・マグラをちょっとかじってみたいなって人は、原作の前にこちらを読んでみると良いんじゃないでしょうか。案外さらっと見れるよ。