1分で読めるトレンドSS『僕と彼女』
三日前に磨き上げた愛車は、もう黄砂で薄汚れてしまっている。
ドアに手をかけるとザラッとした感触。
僕はつい舌打ちし、そしてため息をついた。
今頃彼女は何をしているだろうか。
本当だったら、今頃はいつもの映画館でズートピアを見ていたはずだ。
僕は彼女のそんな趣味は嫌いではなかったし、むしろ好ましく思っていた。
だが、何もかももう終わったことだ。
「…いつから?」
「ずっと前から」
「そっか」
昨夜のことだ。
僕達は何度こんな会話を繰り返しただろう。
「本当は他に好きな人がいた」
1年付き合った僕達が別れるには十分な理由だった。
僕はスマホから彼女の痕跡を消す。
どうせもう、彼女から電話がかかってくることもないのだから。
そして助手席の「彼女」に改めて告げる。
「ずっと前から好きでした」
※旬なワードをお題にサクっと読めるSSを書いてみよう!!という思いつきで始めてみました。